宝塚バウホール星組公演『アレクサンダー』
樽井美帆です
宝塚バウホールにて、
星組公演ミュージカル・ヘリテージ『アレクサンダー』-天上の王国-
が、9月30日(火)から10月12日(日)まで上演されています。
主演は、天飛華音さん。
天飛華音さんは、2016年『THE ENTERTAINER!』で初舞台を踏まれた102期生。
入団10年目です。
新人公演の主演は3回つとめていらっしゃいます。
2023年、「My Last Joke-虚構に生きる-」でバウホール公演初主演。
現在上演中の『アレクサンダー』で、2度目のバウホール公演主演となります。
またこの公演は、10月21日(火)から27日(月)まで、
東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)で上演され、
東上初主演公演となります。
脚本・演出は、田渕大輔さん。
出演は、星組30名のみなさんです。
本当に美しい舞台✨
キャスティングもピタリとはまり、
星組のみなさんの華やかなコスチューム姿が眩しい公演です。
宝塚歌劇のコスチュームプレイは、本当に美しいしワクワクしますよね!
上級生のみなさんの素晴らしいビジュアルと深いお芝居も感動的です。
原作は、赤石路代さんの人気コミック「アレクサンダー大王 -天上の王国-」。
紀元前4世紀、史上初の東方遠征を果たし、ギリシアからインドに及ぶ
広大な領地を治めたとされる伝説の王・アレクサンダー。
彼はなぜ生涯をかけて、“世界一の王国”を築くという壮大な夢を追い続けたのか…?
人の心を読む不思議な力を持つ盟友・ヘファイスティオンや、
ロードスの孤高の女傭兵・サーヌとの出会いを経て、
まだ王子だった頃のアレクサンダーが、
果てしない夢を抱くに至ったその真実と愛が描かれています。
天飛華音さんが演じているのは、マケドニアの第一王子アレクサンダー。
前髪を下ろした金髪ロングヘアが若々しく美しく、
シャープかつ大きな瞳にかかる前髪のバランスが最高です。
相手を思う優しい瞳ですが、
愛する人を守る時、怒りのスイッチが入った時、激しい立ち回りの時は、瞳が変わります。
瞳の中にメラメラと燃える炎が見えるようです。
赤いマントを翻す姿は、まさに明るい太陽のよう。
歌声も明るく優しく、そして溌剌とした若々しい笑顔が輝いています。
愛する人と一緒にいる時の顔、友人と一緒にいる時の顔、息子や兄としての顔。
誰といて、どんな立場かによって、自然に表情が変わっていきます。
友人といる時の少しヤンチャな顔、ヘファイスティオンといる時の安心した顔、
どの表情も美しいですね😍
アレクサンダーのためならと、周囲に思わせる説得力がある天飛さんのお芝居。
イッソスの平原で、一人サーヌに語り掛ける様子は、
本当に優しさいっぱいで、サーヌはそこにはいないけれども、
たしかに姿が見えるように感じました。
瑠璃花夏さんは、ロードスの傭兵サーヌ。
アレクサンダーが唯一愛した女性です。
甲冑をモチーフにしたパンツスタイルの衣装。
凛々しく着こなされ、立ち姿が美しい✨
勇ましく立ち回りをされる時にも、しっかり美しさを感じました。
かぶっていた甲冑を脱いだ時の美しさ!
お姫様的な美しさとはまた違い、戦う覚悟が決まっている女性の美しさ。
アレクサンダーが唯一愛した女性という説得力を感じました。
たしかな意志を感じる真っ直ぐな眼差しがカッコ良く気高いサーヌ。
そんな眼差しが、アレクサンダーに抱きしめられた時は柔らかくなります。
アレクサンダーと向き合うお顔の角度や、キリリとした口元にも強い意志を感じました。
相手が王子であっても、しっかりと思いや考えを伝え背中を押す。
アレクサンダーの気持ちに寄り添い諭し、
アレクサンダーが気づいていない自身の気持ちに気づかせる。
瑠璃さんのお声が心地良く、説得力と愛にあふれていました。
とてもキレイな声で歌声も魅力的な瑠璃さんですが、
今回は宝塚歌劇の娘役さんとしては、低い声で演じていらっしゃるように感じました。
私は、少しの間だけ目を閉じて、声だけで瑠璃さんを感じてみました。
すると、声だけでもものすごい説得力があり、勇ましい中にメルヘンを感じ、
ジブリ映画のような世界観を感じることができました。
サーヌの抱負な知識を尊敬するアレクサンダー。
尊敬が愛へと変わっていく過程が美しく描かれています。
稀惺かずとさん演じるアレクサンダーの盟友ヘファイスティオンは、
人の心を読む不思議な力を持っています。
甲冑をモチーフにした青い衣装のヘファイスティオン。
黒髪に青いマントがよくお似合いです。
ガラス玉のように潤んだ美しい瞳。
一つ一つの動き、激しい動きさえも、とても美しくて惹きつけられます。
明るい太陽のようなアレクサンダーに対し、静かに照らす月のよう。
アレクサンダーの妹クレオパトラを、
「庭に青い花を見に行きませんか?」と誘い、
エスコートするために自分の腕をクイッと差し出す姿がステキ過ぎました😍
そして、アレクサンダーを思う気持ちは心が苦しくなるほど。
自分の思いとアレクサンダーの思いや希望、
自分にだけ聞こえる人々の声に葛藤し苦しみ、
それでもアレクサンダーのために生きようとする誠実な心が伝わってきます。
自分がなすべきことに覚悟を決めた、とても悲し気な表情が忘れられません。
心の叫びのようなドラマチックな歌声は、胸に染み渡りました。
マケドニアの将軍アッタロス、美稀千種さん。
スキンヘッド、口ひげ、あごひげというインパクトのあるビジュアル。
まさに絵に描いたような悪、自らの立身出世のために画策する人物。
お芝居の深さと黒さ、ダイナミックな悪を感じます。
中心にいない時こそ悪い顔をされていてゾクゾクします。
宝塚歌劇の悪役は、ただ悪いだけでなく渋いですよね!
朝水りょうさんは、マケドニアの将軍アンティパトロス。
シルバーのツンツンヘア、小さなお顔と長い首、
朝水さんの美しいお顔立ちに、コスチュームが映えてとてもステキ🤩
役を演じていらっしゃるようには見えず、本当に実在していそうなリアリティを感じます。
言葉数少なく、愛情たっぷりにアレクサンダーを見守る静かなる美しさ。
美しい表情の数々、本当にすべての感情を繊細に表現されています。
そしてとにかく渋い!
アレクサンダーの母でマケドニアの王妃オリュンピアス、澪乃桜季さん。
落ち着いた低い声、とてもミステリアスで美しく高貴。
たしかに、人には見えていない何かが見える雰囲気をまとわれています。
息子を思い、涙を流しながら歌われる歌には、愛がいっぱい詰まっていました。
物語が始まった時と終盤では、明らかに表情とオーラまでが違っていました。
アレクサンダーの妹クレオパトラ、美玲ひなさん。
ふんわりした頬が印象的で、丸い瞳、美しく気品ある口元、
キレイなフェイスラインでとても愛くるしいお顔立ち。
最初は、おてんばなかわいいクレオパトラですが、
兄を思い、ヘファイスティオンへの気持ちを封印して、
父が決めた伯父であるエペイロス王との結婚することを決意します。
かわいらしさの中に強い覚悟が全身からあふれていて、
はじめの頃とは別人かのような風格をまとうクレオパトラ。
国と兄を思う気持ちが声にも表れ、優しい表情の中に気高さと決意が感じられ感動しました。
フィナーレは、赤と黒の衣装の男役さんのダンスからスタート。
お芝居では鬘をかぶられていたみなさんも、
ショートヘアの地毛で踊られるのが新鮮でカッコイイ🤩
前髪がファッサファッサなびくのが最高ですよね!
アレクサンダーと仲間たちの熱いダンスです。
天飛さん・瑠璃さんのデュエットダンスは、アレクサンダーとロクサーヌとしてのダンス。
スモークがたかれる中、幸せになった二人を感じることができる、
感動的で美しいデュエットダンスです。
踊り終わってご挨拶をしたあと、さらにキスをするというアツアツのお二人です。
音楽やセット、セリフなどすべてに明るく晴れ晴れとした美しさを感じます。
アレクサンダーの友人を演じるみなさんも美しく、笑顔がキラキラ✨
紀元前4世紀の青春物語のようですね。
清々しさと勇気をもらって、劇場をあとにしました。