宝塚大劇場月組公演『RYOFU』・『水晶宮殿』
樽井美帆です![]()
月組公演
三国志炎戯『RYOFU』
Amazing Fantasy『水晶宮殿(クリスタルパレス)』
が、宝塚大劇場にて4月4日(土)から5月17日(日)まで上演されました。
瑠皇りあさん。羽音みかさん・奏羽美緒さんが、
7月19日東京宝塚劇場公演千秋楽付で退団されます。
三国志炎戯『RYOFU』
作・演出/栗田 優香
開演前、パチパチと火が燃える音が聞こえてきます。
本来、三国志演義と書きますが、栗田優香さんは「三国志炎戯」にされています。
赤と黒の鎧、頭に高々と2本の羽根飾りを付けた或る男が、今まさに処刑されようとしています。
それなのに、男は高笑い。
刀のキーンという音がすると、客席がライトで赤く染まります。
この赤色が、この作品ではとても印象的です。
舞台の幕が落ち、炎に赤く染まる舞台では、赤い衣装の炎の精が舞っています。
描かれているのは、并州(へいしゅう)の戦場。
鳳月杏さん演じる呂布が登場。
赤・金・黒色を使った豪華な中国の鎧に身を包み、赤いマントを翻し、
方天画戟(ほうてんがげき)という槍のような長い武器を持っての立ち廻り。
「この世のすべてに復讐せん」と歌い、一人で次々に突いて斬って、すべての兵を倒していきます。
鳳月さん演じる呂布が笑っていてゾクッとします。
舞台上には、斬られた人たちがびっしり倒れています。
これまでにも宝塚歌劇の立ち廻りは数々観てきましたが、
あんなに舞台に人が横たわった場面は初めて観ました。
どれほどの人数を呂布が斬ったか、どれほど激しい立ち廻りかが伝わってきます。
舞台を駆け回りながら大勢を相手に戦っているにも関わらず、
全く力が衰えない姿に、世の中への激しい恨みを感じました。
幕開けから激しい戦い、迫力の場面が繰り広げられ、次々にズバッと斬る音が響き渡りますが、
演者のみなさんと音響さんの呼吸と技術に大感動です。
また、舞台上の熱さを支えるように、冷静に指揮を刻み続けられる石井勇魚さんと、
オーケストラのみなさんが奏でられる音楽も一体化し、幕開けから迫力満点です。
時は189年。
古代中国は并州にて、猛将・呂布が戦果を上げていました。
并州を治める丁原(ていげん、佳城葵さん)に忠義を尽くす呂布ですが、
その狙いは并州を奪い取ること。
主である丁原の息子たちを葬り、娘の雪蓮(せつれん、天紫珠李さん)を誘惑し、
言葉巧みに娘婿として并州の地と兵力を手に入れ、
それを足がかりに着実に天下を取ろうとしていたのですが・・・
史上最強の武将と謳われた呂布と、生涯愛した女性との運命を描いた物語。
血と愛と罪が華やかに燃え上がる壮大な三国志が描かれます。
鳳月杏さん演じる呂布は、史上最強とうたわれる武将。
差別と貧困の中で育ち、優しい母の理不尽な死をきっかけに、
「誰より強き獣になって、この世の全てを喰らってやる」と誓います。
初登場の美しさにうっとり。
方天画戟を頭上でクルリと軽やかに回したり、
銀橋を渡る前に客席に向かって鋭い視線を決めたり、マントや衣装をピッと美しく払ったり。
本当にすべてが美しくて、宝塚歌劇の男役としての技術が結集している瞬間に感じました。
呂布は、周囲にバレないように虎視眈々と自分の果たすべきこと、そのタイミングを狙っているので、
大きな動きのお芝居ではなく、ほんのわずかな目の動きや表情で鳳月さんは表現されているように
感じました。
多くの人を斬り、血に染まった白い婚礼の衣装の呂布。
結っていた髪もほどけて乱れています。
その髪は、汗や血で汚れ湿ったような質感を感じさせ、床山さんの技術に感動しました。
色々な声を使い分けられる鳳月さん。
深く太い声がステキですよね~😍
憎しみを感じている相手へや、戦いの時の声ではなく、私が注目したのは、優しい声。
并州を手に入れるため、雪蓮を誘惑する時のものすごく優しい声。
だましていると分かって観ているにも関わらず、愛情深い声で戦いの時とは別人のようだったので、
雪蓮でなくとも私もだまされて好きになってしまいました。
みなさんも同じ思いではないでしょうか?
あんなに優しい声で愛を伝えられたら見抜けませんよね🥰
鳳月さんの目は、美しいのですが恐れも感じます。
宮殿でみんなが話をしている時は、一言も聞き逃すまいという目をされています。
それも誰にもバレないように密かに。
強い恨のため鈍い光を放ち、心を感じなかった目が、雪蓮の清らかな心に触れ愛を知った時、
優しさと後悔にあふれた目になるですよね。
呂布が本来の優しさを取り戻し、母親の教えを思い出した目が切なく悲しいです。
天紫珠李さんは、丁原の娘・雪蓮。
荒々しい戦いの場面のあとに登場する雪蓮は、水色の衣装をまとい、
まるで天女のような美しさと華やかさ。
すべての所作が美しく、優しくゆったりと歌う歌声も美しいですね。
そんな人を疑うことを知らない雪蓮が、愛する呂布の本来の姿を見て絶望する姿が本当に苦しいです。
雪蓮の衣装は、水色・白・ピンク・赤と変化していきますが、それは純真無垢だった雪蓮が、
自分の力で自分の生き方を決める強い意志を持っていく過程を表しているかのよう。
赤い衣装の雪蓮は、天紫さんの華やかでゴージャスな雰囲気と融合して強い力を放ち、
舞台に咲く大輪の花のような美しさ。
梅の花のような小さくて楚々とした雰囲気だった頃の雪蓮とは別人のようです。
雪蓮は慈悲深いだけでなく、時に勇敢な姿も見せますが、それが天紫さんにピッタリ。
指先まで完璧で、美しいしなやかな舞いに気高さと知性を感じます。
強い光を目に宿し、意志を持って力強く舞う雪蓮。
その姿を見た呂布の戸惑いと、目にふたたび愛が宿る瞬間は見どころの一つではないでしょうか。
様々な思いが入り乱れて争いが尽きない中、呂布と雪蓮との場面は、時にときめき、時に切なく、
時に息が止まりそうなほど苦しいです。
風間柚乃さんは、暴君と称される政治家・董卓(とうたく)
呂布の野望を見抜き非情な取引を持ち掛け、運命を狂わせていきます。
もととなっている三国志演義にも、極悪人して描かれている人物です。
新たな世を作るためには手段を選びません。
主人公の呂布が悪役で、二番手となる役も悪役という珍しい配役。
そのため立ち向かうにはかなりのパワーを要するのではと思うのですが、
風間さんの威厳と黒い演技は最高ですね。
董卓は、顔から前のめりに勢い良く倒れます。
あまりに勢いがあるので、エビのように足が跳ね上がるほど。
それまで恐怖で支配し、恐ろしい人物だと思っていたのですが、
その姿を見て初めてかわいそうだと思いました。
あっけない最期に憐れみを感じました。
「初めはこんな人ではなかった」という李儒(りじゅ)の言葉。
「戦禍の世を終わらせることができる唯一の人間だ」という董卓本人の言葉。
最期の姿を見て、確かにそうだったんだろうなと感じました。
礼華はるさん
董卓の側近・李粛(りしゅく)
彩海せらさん
董卓の参謀・李儒(りじゅ)
お二人の演じる人物の対比が見ていてとても面白いです。
董卓を尊敬し付き従っている二人。
同じゴールに向かってはいるけれども、見えているものが違う。
それがお二人のお芝居からよく分かります。
李粛は、董卓が思い描く新しい国作りに共鳴し、董卓に心酔している。
すべてが董卓のための行動で、同じく董卓に尽くす李儒への嫉妬が分かりやすく見えます。
礼華さんのセリフの説得力が公演ごとに増していますよね。
李儒は立ち姿が美しく、その立ち姿から知的な雰囲気が漂います。
このお話しの中では、優しい人物で人の命を大切にするので、観ていてホッとする人物。
変貌していく董卓に苦悩する姿が苦しいです。
そして、礼華さんと彩海さんのデュエットの歌声がとても美しいです。
この公演で退団される羽音みかさんの赤兎馬(せきとば)。
一日に千里を走り血の汗を流すと謳われる、董卓が呂布に贈った伝説の名馬。
人の強い感情を喰らって腹を満たす魔獣です。
燃えるような赤い衣装で、馬の顔の飾りを被っています。
伸びやかで美しく力強く怪しい存在感。
一目で呂布が惹きつけられる説得力があります。
羽音さんにしか出せないダイナミックで魅力的な雰囲気。
軽やかなダンスで呂布を魅了します。
理性を失わさせる魅力を持った美しき赤兎馬です。
高さのある華やかなセット、廻り舞台(盆)を使ってのスケールの大きな舞台転換。
激しい戦いの場面とは対照的な静かな夜の風景、満開の梅、満月などの美しいセット。
中国の空気感を感じることができる美しい旋律。
そして、この辛く悲しいお話しをさらに胸に迫るものにし、
また心を清らかにしてくれるのが美しいカゲソロやカゲデュエットではないでしょうか。
Amazing Fantasy『水晶宮殿(クリスタルパレス)』
作・演出/齋藤 吉正
長い時をパレスで眠り続けていた伝説のプリンセスが目覚め、新たな時を刻み始める。
そこに降臨する流星の騎士メテオ。
美しいプリンセスに恋をした流星の騎士メテオは、
宇宙空間に散ったクリスタルパレス再興のための
複数の水晶(クリスタル)を探し求める彼女と共に星々を巡る旅に出るという
ストーリー性のあるショー。
風間柚乃さん演じるデビル・フリーザーが登場。
全宇宙を手にする野望を抱くデビル・フリーザーは、美しい紳士、淑女を氷に閉じ込め、
コレクションし続けています。
それを悪くステキに歌う風間さんが最高です。
氷の古城に閉じ込められたプリンセス・ジュリー天紫珠李さん。
救世主を求めて歌うジュリーの美しい歌声が奇跡を起こし、
美しきメサイア、流星の騎士メテオ鳳月杏さんが降臨。
メテオの歌声は固く冷たい氷を砕き、希望に満ちた冒険ファンタジーが幕を開けます。
ブルーグレーを基調とした衣装で、男役さんも娘役さんも頭に飾りが付いています。
娘役さんは、ナポレオン帽のような形の帽子をチョコンと乗せていて、
男役さんは、紫の三角形の飾りが付いています。
鳳月さんと天紫さん、お二人のメルヘンチックな衣装や雰囲気が新鮮でとてもステキですね🤩
恋のデリバリー・ロード
メテオと離れて旅するジュリーは、高級マンション滞在。
この星でジュリーは大スター。
外にも出られないので、たくさんのデリバリーグルメを注文します。
金髪サラサラロングヘアで、黄緑にピンクというポップでメルヘンな衣装で、
可愛い声でコミカルに歌う天紫さん。
デリバリーボーイ礼華はるさんを中心に色んな職業の衣装の人たちが、
楽しく明るく恋の喜びを歌い踊る楽しい場面です。
鳳月杏さんは、どの場面も優雅で美しいお姿。
つま先をチョイと軽く蹴る一瞬や、全身に男役の色気があふれています🥰
メテオとジュリーはNEW REXに進化し、摩訶不思議な世界の扉を開け、
恐竜たちによる豪華絢爛なスーパーステージ。
恐竜をイメージした衣装で、手もガオーという感じで楽しいダンス。
歌手は一乃凜さん。
可愛らしいく素晴らしい歌声。
美しい表情としなやかな動きから目が離せません。
1階席・2階席ともに客席降りがあって盛り上がります。
マッチ売りの少女の場面で、マフラー姿で歌う風間さんの優しい歌声にうっとり。
本当に色々な歌声をお持ちで、どんなジャンルの曲でも自在に歌われますね。
マッチ売りの少女・白河りりさんの透き通るような歌声も感動的です。
この場面の最後に、白河りりさんの頭を優しく包み込む表現力の美しい同期生・羽音みかさん。
愛しさがあふれていました。
様々な旅を乗り越え、クリスタルパレスが復活する場面では、
大階段のセッティングを見せる迫力ある演出になっています。
黄色い月組カラーの衣装で、瑠皇りあさんと羽音みかさんが銀橋で歌います。
同期でこの公演で退団されるお二人。
曲は、及川光博さんの「コングラッチュレーション!!」
旅立つお二人へ向けての歌詞のようでもあり、お二人からのメッセージのようでもあるような歌詞。
ぜひ歌詞を受け止めてくださいね。
瑠皇りあさんは、舞台に出てこられるたびに美し過ぎて目を惹く方🤩
羽音みかさんは、表現力と輝き、宝塚の舞台を愛する気持ちが伝わってくる娘役さん😍
黒燕尾群舞は、宮殿に見立てられたの大階段での美しいフォーメーションからスタート。
AからHに変化します。
鳳月杏さんのイニシャルですね!
堂々と上品なダンスです。
ピンクのドレスの娘役さんも加わり、宮殿での優雅な舞踏会のような華やかさ。
ピンク色のドレスの天紫さんが可愛らしく、まぶしいほど輝いていらっしゃいます。
ピンクの衣装のトップコンビのデュエットダンス。
大人なピンクでとてもステキです。
手を差し伸べる鳳月さんの優しい笑顔、頬をピンクに染めて手を合わせる天紫さん。
今日初めてコンビを組んだかのような初々しさを感じるお二人。
スモークがたかれ、本当に夢の世界。
カゲソロは朱鷺あおいさん。
素晴らしい歌声で、Superflyの『輝く月のように』を歌われています。
ダンスに歌声が重なって、さらに感動的。
光る剣を持ってのパレード。
凛々しいご挨拶がステキです。
華やかなパレードとワクワクするメロディーの主題歌を聞いていると、
自分も勇者になったような、冒険に出かけたくなる楽しい気持ちになりました。
そして、齋藤吉正さんの作品と言えば映像。
緞帳が下りたあとも気をゆるめないでくださいね。
東京宝塚劇場では、6月6日(土)から7月19日(日)まで上演されます。












