宝塚大劇場雪組公演『ポーの一族』
樽井美帆です![]()
雪組公演ミュージカル・ゴシック『ポーの一族』が、宝塚大劇場にて7月11日(土)から8月23日(日)まで上演されています。
2018年の花組公演以来、8年ぶりに『ポーの一族』が宝塚歌劇の舞台に戻ってきました!
ミュージカル・ゴシック『ポーの一族』
原作/萩尾望都「ポーの一族」(小学館「フラワーコミックス」刊)
脚本・演出/小池修一郎
萩尾望都さんの不朽の名作漫画が原作のミュージカル作品です。
脚本・演出は8年前の初演と同じく小池修一郎先生が担当されています。
雪組新トップコンビ朝美絢さん・音彩唯さんの宝塚大劇場お披露目公演。
また、専科の美穂圭子さんがこの公演を最後に宝塚歌劇団を退団されます。
開演前の舞台には「THE POE CLAN」という文字が金色に輝き、その周りには赤・ピンク・白・紫など、美しく光る薔薇の花🌹
ポーの一族の紋章も見えます。
朝美絢さんの開演アナウンスは、声が高めで柔らかく、少年っぽいお声。
幕が開くとそこは、1964年のフランクフルト空港。
三人のバンパネラ研究家が集まり、100年以上にわたって語り継がれてきたバンパネラ伝説が明かされていきます。
赤く染まった舞台にポーの一族が集結し、主題歌を歌い上げます。
衣装も鬘も豪華で華やかですが、バンパネラのみなさんは血色感を感じない表情で、人ではない者の温度感。
美しく華やかで、圧巻の歌のオープニングです。
そこから一人残って歌うエドガー・朝美絢さん。
両手をまっすぐ下におろして歌う姿がとても印象的で、絶望や虚無感、哀しみを表しているよう。
いつもの男役さんの力強いお声ではなく、少年らしいふんわりとした歌声です。
イギリスの片田舎スコッティの村近く。
幼いエドガーは赤ん坊のメリーベルと二人、乳母に置き去りにされてしまい途方に暮れていたところ、老ハンナに拾われ育てられます。
老ハンナと一族の正体は、薔薇咲き誇る館に暮らす吸血鬼「バンパネラ」、ポーの一族でした。
やがて一族の秘密を知ってしまったエドガーは、愛する妹を守るため、自らも哀しき運命を受け入れます。
それは、少年の姿のまま永遠の時を生きる吸血鬼「バンパネラ」となることでした。
ポーツネル男爵、シーラ、メリーベルとともに、時を越え、場所を変えながら哀しみと孤独を抱えて旅を続けるエドガー。
そんな中、彼は深い苦悩を抱える少年アランと巡り合い、二人は永遠の旅路へと歩みを進めていきます。
美しくも切ない、時空を超えたゴシック・ロマン。
ピンクがかったマーブル模様の大理石の柱や壁がとても美しいセット。
赤いライトが当たると、うっとりするほど美しくも恐ろしい、ゴシック・ロマンな雰囲気が漂います。
大掛かりなセットの昇降や、盆(廻り舞台)を使っての迫力ある場面転換も見どころですね。
そして、久しぶりのクレーンを使った演出も大迫力です。
一幕のラストは息をのむ美しさ!
舞台に出演者が勢揃いして静止すると紗幕が下り、赤いベルベットの衣装を着たエドガーが銀橋へ。
スポットライトを浴び、反るような美しいポーズで決めて暗転します。
盆とセリを使った大迫力の舞台転換、ドラマチックな音楽と美しい照明、そして出演者のみなさんの動きが見事に融合し、とても感動的です。
朝美絢さんが演じるのは、永遠の時を生きるバンパネラ、エドガー・ポーツネル。
生きてきた中で初めて出会った美しい人・シーラに初恋にも似た淡い感情を抱き、ベンチに三角座りをして「男爵を愛しているの?」・「どうして?」と尋ねる姿は、純粋さと恥じらいが溢れていて、とってもかわいらしい人間の男の子そのもの。
そんな穏やかでかわいい少年が、運命に翻弄され、立ち向かいます。
そして、次第に激しく叫ぶような歌声へと変化していきます。
『哀しみのバンパネラ』で「僕はバンパネラ」と歌う切ない表情と歌声が何とも悲しいです。
音彩唯さんは、 エドガーの妹メリーベル。
「うふふ」・「あはは」という漫画の世界ならではの笑い方が自然でかわいらしく、一瞬でメリーベルの虜になってしまいます。
エドガーの後ろに隠れてひょこっと顔を出す仕草や、全身を使って一生懸命に感情を表現し伝えようとする姿が、まさに幼い妹。
泣く姿もかわいいです。
幼い頃は「おにいちゃま」と呼ぶ声がかわいらしいのですが、数年後にエドガーと再会した時には、お声を少し大人っぽく変えて演じられていて、メリーベルの成長を感じました。
儚く透明感があり、守ってあげたいメリーベル。
人間であるかバンパネラであるかにかかわらず、メリーベルという人生を一生懸命に生きている姿が健気で愛おしいです。
トップコンビ朝美さん・音彩さん、 今回は恋人同士や夫婦ではなく「兄と妹」という宝塚歌劇では珍しい設定。
お互いを思いやる姿に何度も感動しました。
メリーベルを自分と同じバンパネラの世界に引き入れてしまわないよう、幼い身で必死に守ろうとするエドガー。
抱き合う場面も、兄と妹としての愛情表現なので、エドガーはメリーベルを抱きしめて、片方の手で頭を包みます。
その抱きしめ方に、エドガーがどれほど大切なかわいい妹だと思っているかの説得力を感じました。
永遠の別れを告げに来たエドガーにすがり付き、自分もポーの一族として運命を共にしたいと決意するメリーベル。
メリーベルのチョーカーを外し、首筋を噛む一連の流れが美しいです✨
瀬央ゆりあさんが演じるのは、フランク・ポーツネル男爵。
エドガーの義父で、ポーの一族。
ダンディさと品、そして愛と包容力!
背中の力強さを感じる美しい立ち姿。
振り返った時の上着の翻り方まで計算されているかのような衣装の着こなしです。
秘密を笑顔で隠す時の目、メラメラした怒りを表現する目も本当にステキ。
すべてはポーの一族に誇りを持っているから、一族を途絶えさせてはならぬという思いにつながっていることが、瀬央さんのお芝居から強く伝わってきました。
小桜ほのかさんは、エドガーの義母・シーラ・ポーツネル男爵夫人。
ポーツネル男爵との愛を貫き、ポーの一族に加わります。
うっとりするほど美しいお声が、ビジュアルも心の中も輝く女性だという説得力につながっているよう。
シーラの清潔感そのもののような美しいブルーのドレス姿で男爵への愛を歌う場面は、幸せいっぱいで瑞々しく、未来への希望に満ちあふれています。
バンパネラになってからの「人ではないもの」としての雰囲気も素晴らしく、愛する人と生きる喜びとともに、ポーの一族として生きる誇りと、一族を守るための正義に満ちあふれていました。
クリフォードから瀕死の重傷を受けたあとのメイクや表情も本当に痛々しく、小桜さんの役作りに感動しました。
瀬央さんと小桜さん演じる夫婦が、言葉を交わさずとも視線を交わし合うだけで深く分かり合っている姿が本当にステキです。
また、村人たちに追われて逃げた馬車の中の、エドガー、ポーツネル男爵、シーラの並びも美しく、まるで絵画のように見えました。
トワイライト家の跡取り息子アラン・トワイライトを演じる縣千さん。
直毛の金髪が印象的で、勢いよく振り返るとパサッと揺れる髪がかっこいい!
いとこのマーゴットとの結婚を押し付けられたり、母親からのゆがんだ感情など、将来を自分で選べない苦しみが伝わってきます。
身体能力の高さが立ち姿からあふれる縣さんのアラン。
ボールを投げる場面でのボールのスピードがスゴイですね!
華世京さんはジャン・クリフォード。
ホテル・ブラックプールに診療所を構えるドクターで、師事しているカスター先生の娘・ジェインと婚約しています。
モテモテで爽やか!
清楚な婚約者ジェインがいながら他の女性にも目がいってしまいます。
自分がモテることを自覚しているちょっとチャラい雰囲気を魅力的に演じられています。
クリフォードの婚約者ジェイン・華純沙那さん(宝塚市出身)。
清楚で芯があるステキなジェイン。
自分に自信が持てずに焼きもちをやいてしまう姿がとってもキュート!
そして、この世ならぬ者を見てしまった時の叫び声の迫力に、華純さんのお芝居力を感じました。
この公演で退団される専科の美穂圭子さんが演じていらっしゃるのは世界一の霊能力者ブラヴァツキー 。
心地よく耳に届く声と、本当に不思議な力を持っていると感じさせる圧倒的な存在感!
チャーミングであたたかいお芝居を心に刻ませていただきました。
二幕では美しい歌声をたっぷり聴かせてくださいます。
歌詞ではなく「ああ~ああ~」だけでも、豊かに鮮やかに表現される美穂さんの歌声は感動的ですね。
幼いエドガー役の琴峰紗あらさん。
妹メリーベルのために必死になる姿が健気で胸を打ちました。
バンパネラとなったエドガーがロンドンの市場で出会う花売り娘ディリーを演じた音綺みあさん(宝塚市出身)。
バラの棘が刺さり指から血を流し、エドガーに噛みつかれて怯えるお芝居と美しい歌声がステキです。
フィナーレの幕開けは、瀬央ゆりあさんが銀橋で歌う『二つの魂~愛のない世界~』。
地毛のセンター分けスタイルがとてもステキで、お芝居の余韻に浸りながらうっとりしてしまう歌声です。
続いて、ピンクの衣装を着た朝美絢さんと娘役さんたちのダンス。
ジュテーム、ティキエロ、ティアーモなど、色んな国の言葉で愛を伝えられる朝美さんのモテモテダンスです。
今度は、男役さんたちが大階段にズラリ。
大階段に座る男役さんの色気は危険すぎますね…!
朝美さんと男役さんの群舞に続いては、瀬央さんと縣さんを中心としたダイナミックな男役群舞へ展開していきます。
男役さん同士のリフトのような技もあり、瀬央さんにリフトしてもらう縣さんのうれしそうな表情と、びっくりするほど高く上がる足に釘付けになりました。
そして、新トップコンビによる大劇場で初めてのデュエットダンス。
スモークがたかれる中、水色の透明感あふれる衣装で登場。
優雅でありながらかっこいいダンスに、幸せな気持ちをいただきました。
エトワールは、この公演で退団される美穂圭子さん。
大階段の上に美穂さんの姿が見えた瞬間、思わず涙がこぼれそうになりました。
胸元にもスカートにも立体的なバラの花がたくさんついている豪華なゴールドの輪っかドレスに、頭には白い羽根飾り。
宝塚おとめの好きな花にバラと書かれている美穂さんにピッタリのドレスですね!
オーケストラの音がやみ、美穂さんの歌声にすべてが託されます。
複雑なカデンツァを響かせる美穂さんの豊かな声量とビブラートは、大劇場が喜んでいるかのような雄大な響き。
そして、私たちの心の琴線を震わせます。
まさに宝塚のディーバ美穂圭子さんですね✨
一本立て公演のため、役の衣装でのパレードとなりますが、朝美さん、音彩さん、瀬央さん、美穂さんはパレード専用衣装です。
音彩唯さんは、宝塚大劇場で初めてトップ娘役の大羽根を背負われています。
頭の黄色い羽根飾りがまるで初々しいヒヨコちゃんのようで、本当にかわいいですね🐣
東京宝塚劇場では、9月12日(土)から10月25日(日)まで上演されます。












