花組公演『ポーの一族』関係者インタビュー
樽井美帆です
2017年12月30日(土)、花組公演『ポーの一族』通し舞台稽古終了後に
関係者インタビューが行われました。
出席者は、原作者の萩尾望都さん・脚本・演出の小池修一郎さん
エドガー役の明日海りおさん・シーラ役の仙名彩世さん・アラン役の柚香光さん。
部屋に入ってこられた途端、みなさんのあまりの美しさに息をのみました!
微笑みのたえない穏やかな雰囲気の会場でした。
萩尾望都さん
観終わったばかりでまだ頭も心臓もバクバクしていますが、本当に素晴らしかったです。
こんな風に作っていただいて小池先生に感謝します。
本当に作品から抜け出てきたみたいで、こんなのを観ていいんだろうかとドキドキしました。
美しかったです。
本当にありがとうございます。
音楽も素晴らしかったです。
小池修一郎さん
昨日と一昨日舞台稽古を行い、つつがなく通せたことを大変ありがたく思っています。
関わったみなさんの努力が報われたことだと思いますので、本当に感謝しています。
41年前の自分に何か伝えられるなら、いつか『ポーの一族』を宝塚で
素晴らしいキャストで上演することができるんだよと伝えてやりたい気がします。
明日海りおさん
舞台稽古を3日間させていただきましたが、まだ段取りに追われているところがあります。
小池先生が見え方などすごく細かなところまで指示してくださることで、
私たちはすごく心強く、また役作りへのヒントをもらっているような感じがして幸せでした。
今日は初日ではありませんので、リラックスして舞台に立てた貴重な1回だったかなと思います。
初日に向けてさらに英気を養い頑張りたいと思います。
仙名彩世さん
舞台稽古を無事に終えられたことに安心しています。
まだまだたくさん課題がありますが、舞台に来てまた見えてきた世界がたくさんあったので、
それを膨らませていけるように大切に演じていきたいと思います。
今日はみなさんの集中力とスタッフさんの集中力、緊張感がとても気持ちよく
舞台稽古できたと感じました。
初日に向けて色々整理して、お客様に楽しんでいただけるように作り上げていきたいと思います。
柚香光さん
舞台稽古を終えて、いよいよ始まるんだなと実感して高揚感と緊張感とで
今すごくアドレナリンが出ています。
舞台機構・段取りを確認しながらの舞台稽古でしたが、舞台転換がとても多く
短い時間の中でスタッフさんが怒涛の勢いで、でも慎重に大きな装置を動かされているのを
袖でスタンバイしながら見ていましたので、大道具さん・照明さん・音響さん、
あらゆるスタッフのみなさんに支えていただいて、壮大な舞台に立たせていただいていることに
あらためて感謝しました。
そういった方々の思いもきちんと感じながら初日から大事に舞台をつとめていきたいなと思いました。
【今回舞台化する中で意識したこと、気をつけた点】
小池修一郎さん
セリフや歌詞は極力萩尾先生の素晴らしいボキャブラリー、
世界を舞台にのせるということで構成していきました。
劇としてやる時に必要な補足などは入れましたが、極力原点を生かしたいと思ってやっております。
歌もそうです。
40年以上前の自分が特に感動したことをすごく考えながらやっていました。
今の若い人たちにも通じるだろうなと思うところは、精神的にも環境的にも行き場を失う、
ドロップアウトというか適応していけない人がすごく多いということが
社会的な問題としてあると思います。
この原作の中に非常に深く込められている人間が普遍的に抱えている問題が、
21世紀になってテクノロジーが発達した時代になってなお健在していることを、
表向きのファンタジーやゴシックロマンで終わらないで、
理屈ではなく感覚的にお客様に分かっていただけたらと考えながらやりました。
【自分が作詞した曲が舞台で使われていた感想】
萩尾望都さん
恥ずかしいというかありがたいというか、自分が書いた言葉に音楽がついて
歌ってくださることに感激しました。
歌にのせるための言葉の数などは少し小池さんが補完しているが、
基本的には萩尾先生の素晴らしい語彙・言葉の数々を原作のまま使っているそうです。
【エドガーの少年らしさを出すために気をつけたこと】
小池修一郎さん
最初に扮装した時に大丈夫だろうとは思っていましたが、
少年なんだけど実は何百年も生きている、老人とまでは言いませんけれども
仙人のようなものとも思うんです。
時間を超越しているということを感じさせるというのが、
少年ぽく見えるビジュアルだけではなくて、
明日海りおの素晴らしい魅力、力なんだと思います。
柚香光もまだまだ新人でフレッシュさを持っていますし、
組の子たちもリーダーである明日海りおと一緒にいると、
若者、少年のイメージがつかみやすかったのではないかと思います。
原作は漫画で絵がついていますので、それをもとにイメージしていくと
より作りやすかったのではないかと思います。
【役を演じる中で大切にしていること】
明日海りおさん
どれだけ自分が1回1回に情念を注げるか、どれだけ命をかけられるかというところですね。
のめりこんで演じながらも冷静に見え方とか色々なものを計算して、
人との関係性が世界観に近付けられるようにしています。
「ブルーのコンタクトを入れていらっしゃるんですか?」と私が伺うと、
「はい、そうなんです~!」と言いながらこちらに向かってパチパチパチッと高速まばたきを!
私は完璧にエナジーを吸い取られました!
明日海さんの目から光が飛び、明日海さんの背後に薔薇が見えました!
舞台ではガラス玉のようにブルーに光っている瞳が印象的ですよね。
仙名彩世さん
どれだけ漫画の世界観を忠実に表現できるか、
シーラが何を感じて何を思って生きているのか、
彼女のバンパネラとして背負っている使命、
小池先生がお稽古場でおっしゃった一番よきバンパネラでいようとしている、
仲間を増やし血筋を絶やさないことに対して、とても命をかけているというところがあります。
20歳でずっと止まっているけれども、中身がとても成熟しているその違和感、
ちょっと不思議なオーラを持っているシーラをどのように表現できるかということを、
心の中を掘り下げていることを心がけています。
柚香光さん
エドガーがアランに何か感じるのが、話の流れでそうなるのではなくて、
どこか惹かれるものがあったんだなとお客様に思っていただけるようなアランでいれたらいいな
と思いますし、自分が先生の作品を読ませていただいた時に感じた世界観はもちろん、
アランの繊細な少し孤独を感じているような表情や雰囲気を表現していくことができらなと
常に課題に感じています。
【一番気に入ったシーン】
萩尾望都さん
いっぱいありますが、最後に窓からエドガーがアランをさらっていくところ、
あのシーンは自分でも描いている時から非常に好きで、大好きなシーンなんですけれども、
今回もそのシーンが現れた時は、鳥肌が立つようなすごい綺麗なイメージが
舞台上に出来上がっていました。
そして、願わくばと言いながらエドガーを追い詰めているシーン、
あのシーンを観るために何回か通わなければと思いました。
ミュージカル・ゴシック『ポーの一族』は、東京宝塚劇場で、
3月25日(日)まで上演されています。