川柳の時間
梅雨入り前の青空の見える逆瀬川のスタジオから、
パーソナリティの山崎彫科さんと茉莉亜まりがお届けしました。
番組内でお読みできなかったお作品の抜粋と講評です。
なお、「川柳の時間」はエフエム宝塚公式youtubeチャンネルにて同時生配信にてお送りしています。
是非チャンネル登録をしてお楽しみ下さい。なお、番組のアーカイブはYoutubeに一週間程度のこります。
映り込む世界岸辺の深呼吸 涼閑
深呼吸できる世界が映っている。深い森だろうか。晴れ渡った草原だろうか。
深く息を吸ったらまた現実へ歩き出すのですね
宿題と仲良く過ごすマイライフ 和音
躍起になってこなさない。ほどほどにこなす。こなさなくてもいい。「あるなあ、宿題」と争わずのマイライフ。
マジがマに減って紅茶の渋いこと 一橋悠実
「ジ」をごくりと呑む。口に出せない「ジ」が香り高いはずの紅茶の渋みを増してゆきます。
梅雨前の晴れ間に光る百合の白 西尾幸恵
晴れ間に百合の白。鮮烈で凛としていますね。情景描写からもう一歩進んで、
百合の白は心のうちにあるのだとすれば「梅雨晴れ間わたしの胸に百合の白」とするのもいいのかもしれません。
体から邪気を払って白くさせ 川端日出夫
白くさせる。からだを。こころを。人は生きれば知らず知らずに邪を纏う。思い立っては白くさせる。
許されてしまった 月が遠く照る 徳道かづみ
許されなくていい、と思っていた。それほどのことだった。
彼方の月を思えば、たとえ人に許されずとも、月だけはいつも照っている。
雨になる夢、それぞれの罪と罰 高良俊礼
雨となり霧散する夢。それぞれにある罪も罰もいずれは霧散する、その雨のこと。
灯を落とし指でまさぐるノクターン 猫又夏梅堂
夜想曲に落とす灯。白い指がまさぐれば、音楽とともに夜はさらに深く色濃くなってゆく。