12月4日 たからづか8丁目35番地 川柳の時間
12月4日 たからづか8丁目35番地 川柳の時間
あちこちにクリスマスの飾り。街が華やぐ年の瀬となりました。パーソナリティの山崎彫科さんと茉莉亜まりがお届けしました。番組内でお読みできなかったお作品の抜粋と講評です。
なお、「川柳の時間」はエフエム宝塚公式youtubeチャンネルにて同時生配信にてお送りしています。是非チャンネル登録をしてお楽しみ下さい。なお、番組のアーカイブはYoutubeに一週間程度残ります。チャンネル登録をしてお楽しみください。
牡蠣殻の乾く四温に旅に出る
カッシュママ
水揚げしたばかりの牡蠣が冬陽に乾く。あたたかい冬。旅はどちらへ?
信じるのは花の香りと空の青
和音
信ずるにあたいするものことが身近にこそあることはしあわせだ。それには花を愛でる心を、空を仰ぐそのひとときをわすれないことだろう。「信じる」という不動の意志だけに、「信じるは」として音数を合わせれば句としての座りがよりよかったかと思います。
白い息吐いて膨れる待ち合わせ
川端日出夫
たくさん着込んで冬の待ち合わせ。会ってのちのあたたかな時間に胸を膨らませて。
べきべきと心を折つた『かうすべき』
猫又夏梅堂
抗す。抗う。抗すべきことに抗したにもかかわらず、成せなかった。どうして、どうしての思いとともに心は折られ。
吸って吐くだけで平和になるのです
一橋悠実
他のだれをも侵さず、吸って吐く。赤子であればそれだけで祝福されていたのに。それ以上のことを求めるようになるのが人間。吸って吐くだけ。その先をあやまななければ平和なのだけれど。
まだ青いイチョウを散らす昼のウツ
ゆき葉
これから輝く黄金となるというのに、昼のウツが青いままのイチョウを散らしてしまう。イチョウの葉影。その向こうにある秋空を、さらりとなにかにをなでる秋風を一瞬感じることができたなら、イチョウが色づくまで待てるかもしれない。
泣くときは虹が立つまで泣きますが
徳道かづみ
悲しむなら底まで。泣くならとことん。どうせ泣くならそこまで泣きますが、なにか?と上目遣いで周りを見据えたりして。泣ききって虹が立てば、あすへと渡ってゆける。
醒めぎわの一点鎖線めく眠り
涼閑
てん、つー、てん、つー。覚醒しての現実が、てん、てん、と混じりつつ、まだ眠りの中。よき現実へと醒められますように。
過去世を置き去りにして星の空
高良俊礼
輪廻転生。ひとの魂のありようは何度生まれ変わっても不変だという。過去世に縛られるそのことを置き去ろうと仰げば、星の空。星はなにを告げるのだろう。
茉莉亜まりの今日の一句
あなたとの時間のあふれでる手帳
ご案内くださる方があり、晩秋岩国の錦帯橋、宇野千代さんの生家を訪れました。お庭は千代さんが整えられたそうで、千代さんに似ているからと据えられた仏頭がもみじの中で迎えてくれました。今年一年、ご投句、ご視聴ありがとうございました。