12.11川柳の時間 夕凪子先生
12月11日 川柳の時間
水仙緊張 母と子のにらめっこ 林かずき
冬の日のひとときでしょうか。にらめっこの平仮名表記が、ほのぼのします。
水仙の凛とした香りが母子を包んでいます。
冬の魔法 吐く息でさえ白くする 玉山智子
息が白いのは冬の魔法なのですか。遠い山も時々白く煙る時があります。あれも魔法なのでしょうか。
ゆれながら夢見る柱時計たち 涼閑
柱時計たちが揺れるのは真夜中。毅然と時を刻んでいるとばかり思わせて、
実はゆらゆら夢見る時を隠し持っている。真冬のファンタジー。
ぱらぱらと閉じられていく 冬が来た 一橋悠実
何もかもが閉じられてゆく。また温かい日になるまでゆっくりとおやすみです。
楽しいも悲しいも後悔も諦めも、しっかりと時間に醸されてゆく。
寄生木は黙ったままを貫いて 川端日出夫
枯葉をすっかり落とした木にがっしりと立つ寄生木。嵐も雨もなんなくかわし、寡黙を貫く。
寄生木としての道を貫く。
進むたびくるくる回る羅針盤 猫又(夏梅堂)
羅針盤にあるまじき振る舞い。いえいえ、その時々に合わせた進路の提示なのかも知れません。
さてさてどちらを選びますか?船長。
風聞に指で混ぜたる水散らす 高良俊礼
人心の変わりやすさに今日は水を散らす。少しの水で流れるか、滲むか、はたまた広がるか。
後のことは後のこと。
枯れ柳日和見主義も楽じゃない 徳道かづみ
のんきそうに見える枯れ柳も揺れどきを計っているのか。
いずれ、主義主張を貫くことはそう簡単ではないのです。
鶴女房仲間は峰を越える頃 靖子
女房として生きることを選んでから、何の疑いもなく過ごしてきた。
仲間たちは北へと向かいつつある今、ふと空を見上げる。小さくほっと息をつぐ。
サンタさんまだかと薄目開ける夜 彫科
忍びよるものあり手の先足の先 凪子
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今年のクリスマスツリー
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