たからづかブリーズサンデー「川柳の時間」ブログ版
「川柳の時間」
今月、ご投句いただいた中から掲載する「川柳の時間」ブログ版です。
今回の担当選者は、茉莉亜まりさんです。
今週もたくさんの投句をいただきまして、ありがとうございます。
「川柳の時間・ブログ版」は、投稿作品の中から、各週の選者が
「今月の気になる作品」を選考した作品を掲載いたします。
今月の気になる作品
一橋悠実さん
「滝になる前に時々泣いておく」
=滝になってしまってはもう留められない。
せいぜい小川程度までで泣きながら、
滝になってしまいませんように。
徳道かづみさん
「白ワイン今日も明日も負けておく」
=敢えて選んでの負けなのだろう。
芳醇なワインの香り。
グラスに宿る輝き。
明日もあさっても敗者上等の祝杯!
西尾幸恵(にしおゆきえ)さん
「忘却は天の恵みか空澄んで」
=その恩恵ゆえに人は荷を軽くし、
未来へ向かうことができる。
曇天荒天であっても、彼方宇宙の空は澄む。
その心ひとつで。
猫又さん
「廃線を夜ごとに駆けて来る列車」
=無念の列車だろうか、あすを運んでくる列車か。
廃線では夜ごと、人の寝静まったあいだに
たいせつななにかが運ばれている。
高良俊礼さん
「原罪の正しく落ちる雨と鳥」
=人が人たることで脈々と負ってきた罪。
忘れていた罪が落ちて来たか。
負い続けた罪が落ちたのか。
雨が罪を洗い、鳥は空へと帰る。
そう信じたい。
福村まことさん
「何色を塗っても夜は落ちてくる」
=あふれる鮮やかな色。
沈みこむような重い色。
深みのあるしっとりした色。
夜はすべての色を無に帰し、
無色透明の朝へとバトンを渡す。
みなさん、今週もたくさんの投句、ありがとうございました。
次回は、11月14日の第2週となります。
夕凪子さんが担当です。
さて、来月12月5日の放送では9時台と10時台の2部構成で、
「ふりかえって2021年! 現代川柳でこの1年を見渡して」と
題して、時間枠を拡大してお送りします。
そこで、皆様から次のテーマで投稿をお待ちしております。
〇昨年からのコロナ禍で翻弄された中、取り戻しつつある日常生活
〇今年も相次いだ自然災害の脅威(熱海の土石流、8月豪雨ほか)
〇1年遅れで開催された東京オリンピック・パラリンピック
〇大谷、松山などに代表される若手のスポーツ界での世界的活躍
〇若者の間でひろがる「昭和・平成レトロブーム」
〇そのほか、皆様それぞれにこの1年をふりかえっての思い
など、ふるってのご応募、よろしくお願いいたします。
次回の茉莉亜まりさんの登場は、12月5日となります。
皆様からの十七音字のドラマをお待ちしております。