たからづかブリーズサンデー「川柳の時間」ブログ版

毎週第1・第2の日曜日の9時台にお送りしています・・・

「川柳の時間」

今週、ご紹介した投句とお時間の関係でご紹介できなかった句を紹介する

「川柳の時間」ブログ版です。

講評は、茉莉亜まりさんです。

 

8月ということで、戦争に関する句を3句いただいています。

 

城水めぐみさん

「誤りが焦がす八月十五日」

・・・「誤り」「焦がす」という短い言葉で、重い歴史を表しておられます。

   「焦がす」からは原爆へも思いが及びます。

   「八月十五日」をどう表し、伝えるかは・・・

   私たちの課題でもあります。

「教科書に挟まる過去の正誤表」

・・・「伝えるべき側が正しいことを伝えている」

   と言い切れない日は今も続いている。

   これからも「正誤表」は尽きることはないのでしょうか。

「ごらんあの西から昇る日の丸を」

・・・この国の今を憂えている一句です。

   「ごらん、西から日の丸」を昇らせようとしている為政者たちを

   という視点を韻文の省略で、完結で強く訴えている句です。

 

徳道かづみさん

「流してはならぬ涙を持つ詐欺師」

・・・だます方の哀しみへ思いを挟ませるかづみさん。

   自分の中にも・・・

   ともすると、

   「だます側にまわってしまうかもしれない」

   という危機感を抱えているのかもしれません。

   詐欺師にはならない。

   けれど、流せない涙はためたまま・・・

   危うい自分をみつめているのでしょうか?

「憎まれて激辛カレー完食す」

・・・憎まれた相手への思いを一身に抱え込んだまま、

   憎まれる自分を痛めるように食べ尽くす激辛カレー。

   くやしさも、涙もぐじゃぐじゃになりながら、

   それでも完食したら、涙拭いてください!

「愛求む時給1000(せん)円食事付き」

・・・働く条件として、劣悪ではなく、ほどほどには恵まれている。

   けれど、満たされることがないのは、

   いつも乾いているから。

   愛はお金を貰っても、お腹が張っても、

   手に入らないから。

   求めるとは、この上なく哀しいことですね。

 

前田邦子さん

「村ぜんぶ祭りの色になってゆく」

・・・俳句として詠めば、祭囃子が聞こえ、

   人は皆、祭りに笑顔で集う光景。

   川柳として詠めば、村ぜんぶ祭色なのに、

   わたしはその輪の外に居る、という句なのかもしれません。

   「春だからさみしい」

   「祭りだから取り残される」

   川柳とはそんな人に寄り添う文芸でもあります。

 

みなさん、今週もたくさんの投句、ありがとうございました。

次回は夕凪子さんが担当します。

 

ここで、ご案内です。

川柳誌「現代川柳」では、「川柳甲子園」と銘打って、

高校生の川柳を募集しています。

茉莉亜まりのtwitterに要項を掲載しています。

DMでも受け付けています。

優秀作品には図書券進呈します。

奮ってのご投句お待ちしています!!

 

 

なお、来月は「9月」がテーマです。

次回の茉莉亜まりさんの登場は、9月2日となります。

9月の香りのする十七音字のドラマをお待ちしております。