たからづかブリーズサンデー「川柳の時間」ブログ版

毎週第1・第2の日曜日の9時台にお送りしています・・・

「川柳の時間」

今週、ご紹介した投句とお時間の関係でご紹介できなかった句を

講評とともに紹介する「川柳の時間」ブログ版です。

講評は、夕凪子さんです。

 

黒田 俊さん

「ぎんなん割る今年の秋が家中に」

・・・11月ならではの作品ですね。

   「今年の秋」と限定したところがうまい句です。

「あの子往く十一月がまた巡る」

・・・「往く」表現がまた戻ってくる様子を表して、

   なにか読む者をホッコリさせてくれます。

   「もう一年経ったんだ」の感慨も出しています。

「風車回る母が帰ってきたようだ」

・・・すこしの風に回る風車に

   お母さんの気配をとらえる鋭い感性の持ち主です。

「まさかの宣告受けたあの日のお月様」

・・・「あの日の月」とだけ言ったところが、

   読者それぞれの「月」をおもわせる効果になりました。

   省略してふくらませた句です。

   私は丸い大きな皓々とした月を思いましたよ。。。

 

一橋悠実さん

「鈴生りの銀杏父が袖まくる」

「落葉す皆に合わせるのやめた」

「ささやいただけで返事をくれる秋」

・・・11月らしい句をありがとうございます。

   銀杏にお父様の張り切る様子を「落ち葉」に

   自分の心を秋のシンとした風情と空気感を

   「ささやき」で表しました。

 

多舵洋さん

「ことことと煮込むほらもう分からない」

・・・煮っころがしにしろ、シチューにしろ、

   形をくずしてしまうまで火を入れる。

   少々のいびつも悪事も思慕もトローリ。。。

   「ほらもう・・・」に臨場感があっていいですね。

「木漏れ日を右手に握り離さぬ子」

・・・幼子とのお散歩でしょうか。

   「右手に握り」でしっかり握られてる様がよく出ています。

   「漏れる」は「洩れる」でしょうか。

「心臓をパレットにして塗りつぶす」

・・・「心臓をパレットにする」がインパクトがあります。

   秋の野山を色付けしているのは貴女なのですね。

   いつもありがとう!

   思いがけない発想に驚かされました。

 

徳道かづみさん

「月割れるあの日あなたが言ったこと

・・・「月が割れる」ほどの言葉とは一体何でしょうか・・・

   と想像させる句です。

   バリバリとお仕事をされているキャリアウーマンでも、

   時にはこんなふうに傷つき方をするのです。

   言葉は慰めにも武器にもなりますね。

「葱刻むザクザク刻む 許したい」

・・・許せない許せないと刻みはじめたものの、

   葱の香にだんだんと心変わりを促されます。

   一字あけが心の変化と時間の経過を表しています。

「悩まない秋の次には冬が来る」

・・・冬が来る事の約束は何があっても変わらない。

   私が私であるように。

   悟りの秋ですかね。。。

「強面でやさしい嘘を抱く男」

・・・ちょっと恐い顔をして、つっぱっている男から、

   思いがけない言葉を掛けられる。

   秋になんなんとする今。

   もしかして、恋になるのかもしれません。

   「嘘を抱く」が優しさをより増しているフレーズでした。

 

ひでこさん

「秋深し合わせ鏡の中の夫」

・・・秋冷の空気とシンと二人居る様子がよく出ています。

   お休みの静かな秋の1日を思わせます。

「父さんの籠はでっかいミカン狩り」

・・・父親の逞しさ、頼もしさが・・・

   「でっかい籠」で表されています。

   ミカン山のあたたかさも伝わります。

 

 紀子さん

「楽しみにしてた土曜日孫潰す」

・・・お友だちとランチ。

   見たかった映画。

   そんな予定を簡単に潰すのが孫。

   いきなり訪れて「バァバ、お昼食べさせて!!」

   なあんて・・・

   トホホな1日です。

 

文子さん

「ふる里よにわかにカープ女子になる」

・・・大阪では阪神タイガース。

   ふる里では広島東洋カープと。

   野球を応援する文化は平和の象徴でもあります。

 

みなさん、今週もたくさんの投句、

ありがとうございました。

 

なお、来月は「12月」がテーマです。

12月の香りのする十七音字のドラマをお待ちしております。

川柳の時間用写真

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