たからづかブリーズサンデー「川柳の時間」ブログ版
「川柳の時間」
今月、ご投句いただいた中から掲載する「川柳の時間」ブログ版です。
今回の担当選者は、茉莉亜まりさんです。
今週もたくさんの投句をいただきまして、ありがとうございます。
「川柳の時間・ブログ版」は、投稿作品の中から、各週の選者が
「今月の気になる作品」を選考した作品を掲載いたします。
今月の気になる作品
西尾幸恵さん
「遠雷に悲しみ曇る閨の窓」
=悲しみを抱える閨。
横で背中を向けている相手にこの悲しみは伝わらないだろう。
遠雷の音が閨のひとりの悲しみをさらに曇らせてゆく。
一橋悠実さん
「夜を消す何と愚蒙なことでしょう」
=消そうとしたのは誰でしょうか。
垂れこめた闇に様々なものが溶け出し、
それが朝陽で昇天する。
そんなことに頼って世は回っているというのに。
たとえすべてが解決しないのだとしても、
夜を消せば世界も消えてしまいます。
猫又さん
「定型に鋳込めば牙をむく心」
=ぎゅっと鋳込む心。定型は檻なのか。
牙をむいた心の行く末が気になるが、そこは定型の檻の中。
牙で人を傷つけたりせぬよう守ってくれる檻でもある。
高良俊礼さん
「この世にてこの世の外(ほか)の雨を飼う」
=この世の外に降る雨は世俗のなにをも吸っていない浄化の雨。
俗を生きる身の内にいつでも降るよう飼っている、雨。
さとすぃさん
「紫陽花はあなたと揺れる宇宙船」
=ふっさりと咲いた紫陽花は色を変えながら
大切な人と宇宙を旅する船でもあったのですね。
飛び立って果てしなき銀河で揺れているのか、
それとも、あの大きな花で大地と繋がったまま、
二人の心の宇宙で揺れているのでしょうか。
みなさん、今週もたくさんの投句、ありがとうございました。
次回は夕凪子さんが担当します。
なお、来月は「8月」がテーマです。
次回の茉莉亜まりさんの登場は、8月1日となります。
8月の香りのする十七音字のドラマをお待ちしております。