たからづかブリーズサンデー「川柳の時間」ブログ版
「川柳の時間」
今月、ご投句いただいた中から掲載する「川柳の時間」ブログ版です。
今回の担当選者は、茉莉亜まりさんです。
今週もたくさんの投句をいただきまして、ありがとうございます。
「川柳の時間・ブログ版」は、投稿作品の中から、各週の選者が
「今月の気になる作品」を選考した作品を掲載いたします。
今月の気になる作品
猫又さん
「微笑みは滅びの色の明るさで」
=満面の笑み、影のない明るさは時に痛い。
滅びの色を含んでやわらかな微笑みがいい。
徳道かづみさん
「愛されて育った人だ 手が薄い」
=愛されて育ったと見える人の手の薄さ。
愛されたと思えない人の手の薄さ。
愛された愛されないを超えた人の手の厚さ。
ほんとうはさして変わらぬであろう手の厚みを見る人が測る。
福村まことさん
「宿帳に動物臭の崩し文字」
=狸か狐か猪か。
人里に下りてにんげんのふりをしている獣の筆跡、
あるいは、獣を宿したにんげんの崩れた文字。
高良俊礼さん
「心音の水立つ白き花の辺(へ)に」
=心の水面にさざ波が立つ。
水面を囲む花か、水面に白を落とす蓮か。
花の辺にて立つ水の凪をじっと待つ。
史っ(ふみっ)さん
「蕊の艶のこして緋い花の干る」
=緋色の花が干てゆく。
蕊にのこるは情念を宿した永遠不死、時空を超える艶だろう。
みなさん、今週もたくさんの投句、ありがとうございました。
次回は、8月15日の第3週に変更となります。
夕凪子さんが担当です。
なお、来月は「9月」がテーマです。
次回の茉莉亜まりさんの登場は、9月5日となります。
9月の香りのする十七音字のドラマをお待ちしております。