たからづかブリーズサンデー「川柳の時間」ブログ版
「川柳の時間」
今月、ご投句いただいた中から掲載する「川柳の時間」ブログ版です。
今回の担当選者は、茉莉亜まりさんです。
今週もたくさんの投句をいただきまして、ありがとうございます。
「川柳の時間・ブログ版」は、投稿作品の中から、各週の選者が
「今月の気になる作品」を選考した作品を掲載いたします。
今月の気になる作品
千春さん
「扇風機尽きないで下さい王手を指されます」
=人工の風が尽きれば途端に窮地に。
風、尽きませんように。
砂狐さん
「曼陀羅の真ん中に描くヘソのゴマ」
=曼荼羅の真ん中には主尊がおわす。
主尊がおられなくとも、そこは完成された世界の中心。
そこに人間のちいさな気配を描く。
「よく挑んだことよ」と主尊はお笑いになるかもしれない。
完全にすこしの破綻を加えるとそれが人間界なのだから。
史っさん
「追いかける流れて行った足裏を」
=あっというまに流れた足裏。
おっとっととコミカルに流れたのなら笑いながら「待って~」と追う。
いのちごとあれよあれよと流されていったのならば、どうか追いつけますように。
福村まことさん
「生傷を見せる九月の勘違い」
=夏去って見せる生傷。
それが心のものであれば、急性でどうにもならぬものを除けば、
生のまま晒すのはためらわれる。
勘違いで晒してしまったのなら自戒。
勘違いで見せられたのなら対処には智恵が要る。
川合大祐さん
「隣人のエンドルフィンを出す九月」
=エンドルフィンとはいわゆる幸せを感じさせる脳内の物質。
隣人もどなたにもこれを出してもらえるなら、
こちらも幸せなのだがこれがむずかし。
炎暑ののちふと秋風。
さて、隣人に幸せを感じてもらうことはできるだろうか。
高良俊礼さん
「曼珠沙華見果てぬ夢は白くなる」
=白い曼珠沙華があります。
赤が白くなる夢ではなく、
白く儚げな夢がさらに白く白くなり、
やがては透けて天に吸われてゆく。
見果てぬ夢とはそのようなものではないでしょうか。
みなさん、今週もたくさんの投句、ありがとうございました。
次回は、9月12日の第2週となります。
夕凪子さんが担当です。
なお、来月は「10月」がテーマです。
次回の茉莉亜まりさんの登場は、10月3日となります。
10月の香りのする十七音字のドラマをお待ちしております。