司法通訳ってなに?パート2
9月11日(日)午後5時30分からの「サンデー・トワイライト」。前週に引き続き、一般社団法人関西司法通訳養成所の清水真代表をお招きして、「司法通訳とはどんな仕事なのか」をお話しします。
司法通訳とは、警察の取り調べの際の警察通訳と、裁判所での審議の際の法廷通訳などの総称です。警察、法廷いずれも外国人被疑者であるならその母語と日本語を橋渡しする能力が必要です。TVなどで見かける同時通訳は、外国人の言葉を視聴者に伝える場合、意訳したり補足したりして話している内容をしっかりと伝える能力が必要ですが、司法通訳の場合、意訳や補足することは真実を伝えるものではないため、被疑者が話したままの内容を日本語にします。その際、被疑者が言葉を言い直したり、間を置いたりしたら、それもそのまま翻訳し、モンタージュします。あくまでリアリティ重視が司法通訳の主旨だというのです。清水氏の司法通訳の現場での体験談は瞠目する内容ばかりです。
こんなエピソードもあります。ある警察署内で刑事が外国人被疑者にこう質問しました。「あなたは弁当持ちなんだな?」。弁当持ちとは警察の隠語で「執行猶予中の者」のことを指します。うっかり隠語で言ってしまった刑事の言葉を、通訳人は「Do you have a lunch box?」と訳して被疑者に伝えました。当然のことながら被疑者は意味が分からず茫然としています。
こうしたさまざまなエピソードや清水氏の体験談の一部が放送では聴けます。また、現在は新型コロナ禍で開催ができていませんが、関西司法通訳養成所が主催して、ワークショップが年に二度、開かれていました。中国語、ベトナム語、英語、韓国語、そして日本語のグループに分かれて、ある事件をテーマにどのように通訳をしていくかシミュレーションするというワークショップです。筆者も何度か参加したことがありますが、カテゴリーとして「日本語グループ」に入りました。というのも、法律用語や警察用語を日本語に翻訳するのが難しいという面があるからです。それなりに知られている言葉に「未必の故意」がありますが、これを分かりやすい日本語で説明することができますか?中国語が堪能なあなたは、この言葉を即座に訳すことができますか?こうしたワークショップに参加すると、自分の言葉の能力に愕然としてしまいます。
外国語、通訳に興味がある方は、ぜひとも放送をお聴きになり、将来ワークショップが開催された折にはぜひとも参加してみてください。一般社団法人関西司法通訳養成所のホームページがありますから、チェックしてみてください。
一般社団法人関西司法通訳養成所 https://k-lits.com/