秋の大阪城、秘密の散策路

9月18日(日)午後5時30分からの「サンデー・トワイライト」。そろそろ朝夕に秋の気配が感じられるこの時期、散歩するにはいい感じかもしれません。そこで番組パーソナリティで構成担当の上野卓彦が、大阪城公園の歩き方をご案内いたします。

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大阪城公園はニューヨークのセントラルパークの1/3の面積ですが、歩くと結構な距離があり、ジョギングやウォーキングをする人、お城観光に訪れる人など、天気のいい日はそれなりの人出があります。今回は、大阪メトロ谷町線「谷町四丁目駅」を起点にして、大手門へ向かいましょう。

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大手門には木製の柱があって、「柱継」がなされています。これは、木製柱は雨水によって下部から腐ってしまうため、柱下部を取り換えられるようになっています。大手門の南北の柱にも切り込みがあり、その継ぎ目が「どうやって嵌め込んであるんやろ?」と思うほど複雑になっています。これは、大正12年に補修した際に当時の匠によって為されたもので、1983年にX線撮影をして初めてその内部構造の謎が解けた……という代物です。見たら驚く継柱。当時の大工方の末裔である天王寺の建設会社がHPで「柱継」の解説をされているので、興味のある方は覗いてみてください。https://www.yokattanaka.net/craftsmanship/

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さて、西の丸庭園を横に見て、天守閣に向かう桜門方向へ進むのが通常ですが、ここで「石山本願寺推定地」という案内板の方向へ進みます。織田信長と本願寺が戦った石山合戦。蓮如袈裟懸けの松はもう少し先にありますが、本願寺の本堂が建てられていたのはこの案内板のあたりだったようです。ここから前に進むと、隅櫓が見えてきます。1628年(寛永5年)に創建の六番櫓です。徳川大坂城の南外堀沿いには、一番から七番までの隅櫓が建っていました。しかし、戊辰戦争や太平洋戦争の米軍機爆撃により現在は一番櫓と六番櫓しか残っていません。この六番櫓の石段を登ると、南外堀の上部に出ます。そして、一番櫓まで石垣の上を歩く小径が造られています。ここを歩くのが実に気持ちいいのです。決して危険な道ではありません。整備されて歩きやすく、しかも目の前に広がる風景を存分に楽しめる散策路です。案外知られてない道なので、ぜひお出かけを。

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本丸に向かうと天守閣前は広場になっています。しかし、ここはちょっと西方向へ移動して、日本庭園前に行きましょう。この日本庭園の池越しに眺める天守は実に美しいのです。しかし、なぜここに日本庭園があるのか?庭園は御殿があってのものなのに……という疑問が生まれます。実はこの庭園の横には、和歌山城二の丸から移築してきた紀州御殿があったのです。明治維新の際に、大坂城内の御殿や櫓が焼失していたので、紀州御殿を移築して陸軍の庁舎や天皇行幸の際の行在所としたのです。しかし、昭和22年9月、連合軍占領下だった御殿は原因不明の失火により全焼してしまったのです。結果、日本庭園だけが残ったということで、できれば名古屋城のように新たな御殿を建築してほしいものであります。

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この他、山里丸手前の「隠し曲輪」の話などもして、わたくし上野は興奮気味に喋り倒しております。申し訳ないことでございます。ぜひ、城散歩に出かけてみたい方は、大阪城もその候補のひとつに挙げてください。