5月14日8丁目35番地 川柳の時間

白薔薇と背中割れたるドレス着て カッシュママ
 白薔薇を持って背中を広く開けたドレスで。新緑の中の花嫁さんだろうか。情景だけを書いて広がった句です。どうぞお幸せに。

誰だって咲きたい春に戦止まず    和音
 世界のあちらこちらで続く戦争。また新しい火種がくすぶりかけている地もあるようです。「誰だって咲きたい春」の措辞が心にしみます。

怒ったかかってこいと揺らす肩   徳道かづみ
 こんな明るく爽やかな季に、喧嘩を売っている。しょんぼりしている人に元気出して欲しいとの心遣いでしょうか。少々荒っぽいですが優しさがいっぱいです。か行の音が優しさと強さを伝えます。

答えなど見つからぬまま五月病   川端日出夫
 五月頃に見られる、新環境に対する不適応病状だから五月病。外の溢れるような新緑に負けそうなことも。ただその恵を素直に受けましょう。答えはあるようでないのですから。

遺伝子の嘆きに天でさんざめく星   涼閑
「さんざめく」という美しい日本語で星空の煌めきを表しています。どうしようもない嘆きを捨てさせるエネルギーがしっかりと伝わってきます。星の輝きで字余りになってしまいました。

悲喜哀怒狂いながらにして春は   高良俊礼
 春の如何ともし難いもやもやは狂いなのだという。やがて季節が巡って霧が晴れれば見えてくるあれこれ。それまで狂いを楽しむことでしようか。

ああこういう人なんだなあ戸をピシャリ  一橋悠実
 第一印象が当たる場合。外れる場合。どちらが多いのだろうか。ピシャリと閉めたのか、閉められたのか。分からないながら閉められたのなら辛いですね。それでも付き合えれる人を大人というのかもしれません。

友だちを始めないかとやまいだれ   小林康浩
 何かのきっかけで次々と病気になってしまうことがありますね。春先などもそんな時期の一つでしょうか。辛いことを擬人化で明るくしてあって、救われます。

彫科さんの今月の句
 ネットでは再現できぬ母の味
 赤ピンク花に代わって今お米

凪子の句
 千年の水の匂いをさせて佇つ

中之島のバラ園。今年も満開です。
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